要約 バフェットの財務諸表を読む力 大不況でも投資で勝ち抜く58のルール
ウォーレンバフェット師匠・ベンジャミングレアムの考え方
「過剰に売られている株」を買い、再評価後の価格上昇で売る=バリュー投資
ルール
①PERが10倍以上の株には手を出さない。
②購入後50%上昇で売る。
③購入後2年間で②の基準に達しなければ売る
=10年後の投資先のビジネスは考慮しない。
バフェットの疑問
①倒産する投資先もあり、効率が悪い
②50%の上昇で売却した投資先がその先も長く繁栄し続けた
③2年経っても50%も上昇しない投資先が多くあり、効率が悪い
↓ 結果
①スーパースター企業の経済性をより深く理解すれば、パフォーマンス向上につながる。(適正価格を知る)
※スーパースター企業とは
ある種の競争優位性による独占状態から恩恵を受けており、自社製品を他社よりも多く、もしくは他社よりも高く売ることが可能となっている企業
②競争優位性が永続的ならビジネスの根源的価値は年を追うごとに増加し続ける。
③保有し続けることで売買手数料をなくせる。
スーパースター企業の条件
①他にはないユニークな製品を売っている会社
②他にはないユニークなサービスを売っている会社
③大衆からの安定した需要の製品かサービスを、低コストで仕入れ、低コストで売っている会社
財務諸表で大切なこと
「一貫性」
損益計算書・・・会社の利益、自己資本利益率、収益の一貫性と方向性
賃借対照表・・・キャッシュの額、長期借入金の額
財務諸表(10Q)
年次報告書(10K)
損益計算書
・売上高
売上高ー原価=粗利益(売上高が高いだけではいけない)
・売上原価(Cost of Good Sold , Cost of Revenue)
→原材料と労働力
粗利益÷売上高=粗利益率
粗利益率
40%以上=なんらかの永続的競争優位性を持っている可能性が高い。
20%以下=常に激烈な競争をしている。
過去10年間の粗利益率を追跡し、一貫性の有無を確かめる。
・営業経費
営業経費増=長期的経済性の破壊
・研究費の増大
・販売および管理コストの増大(SGA費)
・債務にたいする利払コストの増大
研究開発費=特許や先進技術は一時的優位性であることも多い。
販管費=低ければ低いほどよい+一貫した数字で推移が望ましい。
減価償却費はきわめて現実的なコストであり、利益を計算するときには除外すべきでない。
バフェットお気に入りの企業は、営業利益に占める支払利息の比率が競合他社に比べ低く一定。
特別損益は永続的競争優位性の有無を見定める際には、除外すべき。
税引前利益の数字から比較する。
証券取引委員会(SEC)に提出された税込みの営業利益に0.35をかける
=法人税額
もし一致しなければ株主を欺こうとしている企業かもしれない。
・純利益
・純利益が長期的に右肩上がりで推移しているか
売上高に占める純利益の割合が、長期的に20%以上で推移
=何らかの長期的競争優位性からの恩恵
売上高に占める純利益の割合が、長期的に10%以上で推移
=どの企業も永続的競争優位性を持ちえない業界に属す。
つまり・・・
10~20%の企業こそ後に大きく成長できる企業の可能性が高い。
(銀行と金融会社を除く)
・1株あたり利益
1株あたり利益が10年のスパンで一貫性と上昇トレンドを示している企業
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賃借対照表
「人間の大きな弱点はふたつある。それは酒と借金によるレバレッジだ。」
資産ー負債=純資産(自己資本)
・資産の部
流動資産サイクル
現金および現金同等物
良:競争優位性を生かして大量の現金を稼いでいる。
悪:事業の一部や多量の社債を売った。
保有する現金が少量
=根源的経済性が平凡もしくは貧弱。
保有する現金増加
=緊急事態に備えて現金のまま蓄える。
蓄え方
①社債や株式を新規発行して売る。
②所有する事業や資産を売却する。
③運転資金よりも多くの現金を本業で稼ぐ。→バフェットが注目する。
一時的な暴落時にバフェットが見る点。
大量の現金と有価証券を保有し、借入金がなし(少ない)かどうか。
①、②、③どれで蓄えたかの判断
過去7年間の賃借対照表を見る。
借入金がなし(少ない)、株式発行や資産売却しておらず、長期的に収益の一貫性が確認できるかどうか。
永続的競争優位性を持つ企業は、棚卸資産と純利益がともに増加する傾向がある。
同業他社よりも売掛金の割合が一貫して低い=競争優位性を持っている。
1より高ければ良とされている
しかし・・・
永続的競争優位性を持つ企業の多くは、流動比率が1を割り込む。
→優良企業はあり余る収益を、高額な配当や自社株買いに振り向ける。それは企業の現金保有高を減少させ、流動比率を1以下に押し下げる。
つまり・・・
流動比率≠永続的競争優位性
生産設備
永続的競争優位性を持つ企業=完全に損耗させれる。=自社利益で買い替え可能
もたない企業=絶え間なく更新しなければならない。=借金
「変更の必要がない製品を一貫して生産し続けることは、一貫して収益を上げ続けることに等しい」
純利益÷資産合計(総資産)=総資産利益率
あまりにも高い総資産利益率=参入を容易にさせるため注意が必要
・負債の部
永続的競争優位性を持つ企業は、事業継続のために長期借入する必要がほとんど(全く)ない。
→長期借入金満期分が多い企業は、長期的競争優位性をもっていない。
1以上で優良企業だが、永続的競争優位性の企業の計り知れない収益力は判断できない。
賃借対照表から10年間の長期借入金を読み解く。
→長期借入金がほとんど(全く)生じていなければ、何らかの競争優位性を持っている。
バフェットの投資先
毎年、すべての長期借入金を3~4年で返済できる純利益を出している。
・少数株主持分
企業が他社の株式を80%以上保有=買った株の会社の利益を100%自社の利益に計上
「長期投資に100%の売上高(損益計算書)、資産、負債(賃借対照表)を計上」
その差分が少数株主持分で引かなければならない。
負債合計÷純資産=負債比率
永続的競争優位性のある企業は優秀な経済性を持つ=純資産必要としない。
→自社株買い→負債比率が悪くなる
だから・・・
自己株式調整済み負債比率の数字をみれば、永続的競争優位性の持つ企業かどうかを判別できる。
→金融機関を除き、自己株式調整済み負債比率が0.80以下の企業
すぐれた企業は、優先株を発行しない傾向がある。
→優先株は控除の対象外
株価上昇=資本剰余金に計上
純利益の使い方
①配当
②自社株買い
③内部留保(当該年度の税引き後純利益ー配当ー自社株買い)
自社株買いで買い取った株
①失効
②保有(賃借対照表ではマイナスの資産となる)
財務的特徴
①実質的に株式発行総数が減るので株主資本利益率(ROE)の数字が向上する
→自己株式の数字をマイナスからプラスに変換し、純資産に足す。
この新たな純資産で純利益を割る。
純資産
①企業設立時に、優先株と普通株の売り出しで一般から調達してきた資本。
②企業設立後に、優先株と普通株の売り出しで一般から調達してきた資本。
③内部留保の蓄積
株主資本利益率が高ければ、やがて株価の上昇となって現れる。
純利益÷純資産=株主資本利益率
競争優位性の質と永続性を評価するとき、巨大なレバレッジを使って利益を創出する企業は避けるべきである(金融関係)
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キャッシュフロー計算書
セクション
①営業活動によるキャッシュフロー
②投資活動によるキャッシュフロー
→資本的支出(常にマイナス)+その他投資キャッシュフロー
③財務活動によるキャッシュフロー
永続的競争優位性を持つ企業は、資本的支出が少なくなる。
資本的支出=借金、社債
年間の資本的支出が純利益の50%以下という状況を長年にわたって維持してきた企業は、永続的競争優位性を持つ企業
25%以下なら尚よし。
バフェットは株主配当の手法を好まない。
配当=税金を払わなければならない
自社株買い=1株あたり利益が増える。さらに、売却しなければ税金もいらない。
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「企業が永続的競争優位性を持っている場合、利益が大き成長するだけでなく、利益の成長が予測可能となるので、その企業の株は、右肩上がりでふくらむ利子付きの”エクイティ・ボンド”も同然である」
エクイティ・ボンド=元本保証型の株価指数連動債券のようなもの
・1株あたり税引前利益÷平均取得単価=税引前利益率
70セント 6ドル50セント 10.7%
・年率の成長率
税引前利益率分の利益+成長率を見込める
優良企業の株はいつ買うのか
→弱気相場
優良企業の株はいつ売るのか
→永続的競争優位性が失われないかぎり、手放さない。
売るのは
①もっと優良な企業をもっと優良な価格で買えると判断したとき。
②永続的競争優位性が失われそうな時
③株式バブルが発生したとき=株価収益率が40倍以上になったら、売却検討
※あくまでも個人の主観による要約です。気になった方は是非ご購入下さい。